ニュースリリース

2009.06.24

OECD-FAO農業アウトルック2009年版 OECD

●ビープレスワン 編集部

OECD東京センタ-は、グローバル化に伴う経済、社会、ガバナンスの課題に取り組む国際機関、経済協力開発機構(OECD)に対する理解をアジア・太平洋地域の皆様により深めるための活動を行っているが、このほど『OECD-FAO農業アウトルック2009-2018発表』の日本語要約同センターから発表された。

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 発表された日本語要約は次のとおり。

 アウトルック概要 • OECDと世界銀行による2008年12月以降の中期経済予測に基づく本中期見通しの基礎となっているマクロ経済環境は、現在の金融経済危機により、急速な変化を続けている。経済環境が混乱しているため、ベースライン予測(現状推移を前提とした予測)については慎重に解釈する必要がある。厳しさを増している今回の経済危機がベースライン予測に及ぼす可能性のある影響について、本書では定性的かつ定量的に分析を行っているが、現在の世界的な信用逼迫と経済収縮が農業市場に及ぼす影響の完全な評価は本アウトルックの範囲を越える。

• 特に開発途上国の昨年の農産物の供給が予想を上回ったことや、原油の国際価格が大幅に下落したことにより、農産物の国際価格は2007~2008年の高値から大きく下げている。今後も全般的な経済情勢の低迷が続き、今後2~3年、農産物の国際価格はさらに下落するだろうが、その後景気回復に伴って強含みで推移すると見込まれる。

• 品目ごとに状況は異なるが、今後10年間における実質(インフレ調整後)ベースでの年平均の国際価格については、ピークをつけた2007~2008年に至るまでの10年間と同じかそれ以上の水準になるとの予測を変えていない。耕種作物の価格は1997~2006年に比べ実質ベースで10~20%上昇すると予測され、植物油の実質価格は30%以上上昇する見込みである。

・食肉の国際価格(実質ベース)は1997~2006年の平均を超えない見込みであるが、予測期間の初期における消費者の所得減少でより安価な食肉への代替が促され、牛肉より鶏肉が好まれるようになるだろう。2009~2018年平均での乳製品価格(実質ベース)は、エネルギー価格と植物油価格の上昇に牽引され、1997~2006年をわずかに上回る可能性が高い(最も上昇幅が大きいのはバターの平均価格で12%上昇)。

• 世界的な金融危機と景気後退が経済の全部門に大きな影響を及ぼしているにもかかわらず、近年の所得が比較的高水準だったことや食料需要の所得弾力性が比較的小さいことなどにより、農業部門は比較的打撃の少ない状況になる見込みである。

• 世界経済見通しは、本アウトルックが作成された年初の時点より悲観的な色彩を強めている。こうした状況に対応し、本アウトルックでは、景気後退(リセッション)に対する農業部門の底固さについて特集している。その分析によれば、景気が2~3年以内に回復に転じるようであれば、所得の減少に伴う農産物の価格、生産、消費の低下・減少は小幅にとどまる可能性が高い。

• この特集では、景気後退がさらに深刻化・長期化し、GDPと所得がアウトルックのベースラインを下回った場合の影響のシナリオ分析を行っている。その場合、最も深刻な影響を受けるのは、牛肉、豚肉、乳製品など、高コストの畜産物に対する需要である。牛肉の国際価格はベースライン予測を約9%下回る。GDPがベースライン予測を下回った場合の耕種作物価格とバイオ燃料価格の下げ幅は、畜産物価格の下げ幅の約2分の1に過ぎない。穀物の中でGDPの落ち込みに最も敏感に反応するのはトウモロコシ価格で、これはトウモロコシが主にバイオ燃料の原料としてではなく飼料原料として利用されていることを反映したものである。

• 特集では、金融市場の混乱と経済危機が農業生産資材(肥料、種子、農薬など)供給業者から小売業者に至るまでの農業ビジネスに及ぼす影響についても分析を行っている。今日までのところ、農業は景気後退にかなりよく耐えているように思われる。しかし、川下部門は資金を調達しにくくなっている。貿易金融の制約は企業に大きな影響を与えており、こうした信用逼迫が続けば、企業の存続まで脅かされることになりかねない。調査を実施したOECD諸国でも非OECD諸国でも、信用へのアクセスは、特に農産物分野の中小企業から主要な問題と見なされていた。

• 特集では、農産物価格の原油価格水準に対する感応度についても分析している。農業の産業化、加工処理の増加、輸送の増加、さらに(特にトウモロコシ、脂肪種子、砂糖を原料とする)バイオ燃料産業の出現により、エネルギー価格と農産物価格は相互依存関係を格段に強めている。原油価格は変動幅が極めて大きく、本アウトルックで用いられている予測をはるかに上回る予測もある。

• ベースライン用に想定されている中期的な原油の国際価格は、実質ベースで、1997~2006年の平均を約60%上回り、予測期間末の1バレル70USドルへと緩やかに上昇していく。原油価格が昨年のアウトルックで用いられた1バレル90~100USドル超の水準まで上昇すれば、農産物価格は大幅に上昇する。最も大きな影響を受けるのは耕種作物で、主に生産量の減少と生産コストの上昇のためであるが、バイオ燃料向けの原料としての需要が増加するためでもある。

• バイオ燃料市場は政府の使用義務化にますます依存しているが、将来の原油価格の動向、政策介入の変化、第二世代技術の開発など、予測できない要因により、見通しは依然として不透明である。原油価格が本アウトルックの予測期間の大半を通じて想定されている60~70USドルの範囲にとどまる限り、バイオ燃料は比較的安価な化石燃料価格に太刀打ちできないが、バイオ燃料支援策によってエタノールとバイオディーゼルの価格と生産は下支えされる。バイオ燃料の生産が使用義務化に応えるため予測どおりに急増すれば、小麦、トウモロコシ、油糧種子、砂糖などの原料は今後も価格上昇圧力を受けるだろう。

• 景気が回復に転じれば、農業生産・消費の伸びの大半は引き続き開発途上国によってもたらされるだろう。特に、所得と人口の伸びを原動力とし、高動物性タンパク質食品の増加と都市化の持続という追い風を受ける畜産物についてはそうである。

• ほぼ全ての農産物について、開発途上国の輸出入の伸びに関する予測はOECD地域の予測を上回っている。南南貿易の拡大持続が、本アウトルックの主要なポイントとなっている。それでもなお、小麦、粗粒穀物および乳製品の輸出についてはOECD諸国が今後も主流を占める。

• 昨年のアウトルックで取り上げたポイントの1つは、農産物価格の上昇に伴う食料価格の高騰だった。その後農産物価格は下落しているが、食料の価格は多くの国で高止まりしている。しかし、食料インフレは沈静化している。2009年2月までの3カ月間と6カ月間に、多くの国で食料価格指数の下落が加速している。

• 人口と所得の長期予測を用いた最近の国連食糧農業機関(FAO)の報告書によると、世界の食料生産は、2005~2007年の平均水準に比べ、2030年には40%以上、2050年には70%増加する必要がある。農業生産に利用できる潜在的農地は世界に大量に存在する。現在の農地面積は14億ヘクタールであるが、さらに約15億6,000万ヘクタール増やすことができる。農地として新たに利用できる土地の半分以上はアフリカと南米にある。雨水作物の生産に最も適している利用可能な土地の大半はこれらの地域にある。しかし、耕作可能な土地のこれまでの拡大ペースは遅々としたものであり、しかも、やせた土地を生産可能な土地へと変えるには膨大な投資がかかる上、社会・環境コストがかかる可能性もあるが、平均の単収は低い。

• 耕種作物と畜産物の生産性は、少なくとも大半の生産性の高い地域では、長期的な傾向で見ると上昇し続けており、今後10~20年でさらに上昇していく可能性が高い。この可能性を活かすには新技術の開発と応用が必要であるが、公的な農業研究費の伸びは鈍化している。中・東欧、サハラ以南アフリカなど多くの地域では、既存技術の利用や農業投入材へのアクセス改善、インフラ整備、普及事業などにより、生産性を大幅に高めることができる。

• OECD諸国では農業が水使用量の40%以上を占め、水使用量は増えている。灌漑が水使用量の99%を占めるが、中国、インドなど主要な開発途上国には広大な灌漑地域がある。FAOの予測によれば、灌漑地域の拡大ペースは大幅に鈍化するが、将来の農業生産は、水を利用できるかどうかにより一層左右されるだろう。

• 気候変動も将来の生産可能性を左右する重要なファクターである。気候変動は明らかに洪水の発生や激しさとともに水不足のリスクを増大させるが、生産フロンティアのシフトをもたらす可能性もある。

• 農産物市場のこうしたかなり明るい見通しの背後には、約10億人の飢餓と食糧安全保障に関する悩ましい問題がある。食糧安全保障は、短期的に緊急事態を解決するだけでなく、貧困の軽減と経済成長という長期的な問題に対処することでもある。農業への投資拡大、開発援助の実効化、貿易/国内政策の改革などの全てがこの問題の解決に不可欠である。

© OECD 2009
本要約はOECDの公式翻訳ではありません。
多言語版要約は、英語とフランス語で発表されたOECD出版物の抄録を
翻訳したものです。

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